VMware ESXi8 Update3eのパッチを適用する

この記事で実現すること

無償版ESXi(VMware vSphere Hypervisor)について、2025-4-10にESXi8 Update3eが発表されています。今回、Broadcomサポートサイトからisoファイルをダウンロードできるようになっています。また、ESXi8 Update3dの時と同様にVMWareのサイトから製品パッチをESXi本体から直接ダウンロードし、ESXi上でパッチを適用する方法も(推奨されませんが)存在します。従来は、BroadcomからパッチのZIPファイルをダウンロードしESXiに適用する方法でしたが、ESXi8 Update3eではISOによるファイルのダウンロードおよび、(非推奨の)コマンドからのUpdateについて説明します。

Broadcomのパッチのダウンロードについて

2025-04-12の時点でESXi8.0は Update3eのパッチが提供されています。但しこれはISOファイルであって、従来コマンドでパッチを適用していたZIPファイルではありません。おそらくユーザーのESXiはヘッドレス環境(モニタがない)で運用されているでしょうから、USBメモリにISOを書き込みブートしてから画面操作というのはなかなか面倒でしょう。しかし、正式にBroadcomからESXiの最新版のISOファイルが再び提供されるようになったのは喜ばしいことです。

ISOファイルのダウンロード手順は下記の通りです。

  1. Broadcomサポートポータルに接続し、ログインします。
     https://support.broadcom.com/
  2. 以下でVMwareのメニューを選択します。
  1. 左ペインのMy Downloadsをクリックすると、Free Software Downloads available HEREと表示されますのでリンクをクリックします。
  1. FreeDownloadsの画面からSearch Product Nameの入力ボックスに”vSphere”と入力します。
  1. 以下のようにvSphereの項目が表示されますのでさらにクリックします。
  1. vSphereからさらに次のページのLinkをクリックします。
  1. “8.0U3e”のリンクが表示されますのでさらにLinkをクリックします。
  1. 以下のダウンロードリンクをクリックします。Agreementと共に個人情報を入力する画面が出る場合があります。

ISOファイルがダウンロードできたら、USBメモリに焼いてESXiのマシンにおいてUSBブート、アップグレード(実際にはアップデート)を実施します。ESXiに対するISOを使ったアップグレードの手順については、以下のESXiセットアップ動画を参考にしてください。特に難しいものはありません。途中、新規インストールかアップグレードかを選択する箇所があります。この動画では新規インストールを選択していますが、アップグレードを選んでください。
https://www.youtube.com/watch?v=eiZn54GPfzI

Broadcomのサイトから直接のダウンロード(非推奨)

今回のパッチ適用方法についてのご注意事項

今回はパッチ適用にあたり、暫定方式(一部メーカーが明確に推奨していない方法を含む)を紹介していますので、リスクをご理解の上で利用されているESXiへのパッチ適用をおすすめします。

ESXi8 Update3e

このリリースでは、新たに発見された脆弱性(CVE)はありませんが、未然防止としてのセキュリティパッチと不具合修正が含まれています。
CVEは発行されていないといっても、重要度についてはCriticalとなっていますので、迅速なパッチ適用が求められます。

パッチ情報(Broadcom)
https://techdocs.broadcom.com/us/en/vmware-cis/vsphere/vsphere/8-0/release-notes/esxi-update-and-patch-release-notes/vsphere-esxi-80u3e-release-notes.html

パッチの内容について

前述したパッチ情報によれば、今回のProfileは以下の4つです。
Image Profile Name
ESXi-8.0U3e-24674464-standard
ESXi-8.0U3e-24674464-no-tools
ESXi-8.0U3se-24659227-standard
ESXi-8.0U3se-24659227-no-tools
ここではセキュリティパッチ+バグに対応したもの、かつ、VMware Tools込みのものを適用します(ESXi-8.0U3e-24674464-standard)。

現在稼働しているESXiのバージョンについては、ESXiにSSHし、以下のコマンドで確認できます(任意)。

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[root@localhost:~] esxcli software profile get
(Updated) ESXi-8.0U3d-24585383-standard

ESXi上でSSH Serverを起動するには以下で行います。
ESXiの左ペインのホストー管理から、”サービス”のタブをクリックし、”TSM-SSH”を選択し”起動”ボタンをクリックし、SSHを有効にします。

これまではオフラインバンドル、つまりESXiはセキュリティのために最小限のアクセスに留めるべく、インターネットに接続するのは最低限度(NTPのみ)という構成を前提としていました。一旦Broadcomからパッチをダウンロードし、それをESXiにアップロード、パッチ適用という流れです。しかし、現時点ではこれまでの方法が取れません。ESXi本体にSSHし、ESXiのコマンドにて直接VMwareサイト(実際はBroadcom)からのパッチの確認、ダウンロードします。このために少しハックが必要です。

ESXCLIコマンドの修正(ハック)

William氏のブログでは以下のコマンドパッチを適用することでコマンドエラーが無くなるとのことです。まずはESXiにSSHした上で以下の5つのコマンドパッチを投入してください。なお、再起動などで今回のコマンドパッチはリセットされますので改めて設定が必要です。

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[root@localhost:~] esxcli system settings advanced set -o /VisorFS/VisorFSPristineTardisk -i 0
[root@localhost:~] cp /usr/lib/vmware/esxcli-software /usr/lib/vmware/esxcli-software.bak
[root@localhost:~] sed -i 's/mem=300/mem=500/g' /usr/lib/vmware/esxcli-software.bak
[root@localhost:~] mv /usr/lib/vmware/esxcli-software.bak /usr/lib/vmware/esxcli-software -f
[root@localhost:~] esxcli system settings advanced set -o /VisorFS/VisorFSPristineTardisk -i 1

William Lam氏の該当記事
https://williamlam.com/2024/03/quick-tip-using-esxcli-to-upgrade-esxi-8-x-throws-memoryerror-or-got-no-data-from-process.html

パッチ情報の確認

最初にESXiからhttpクライアントをFirewallで通すため、ESXiにSSHしたあと、以下のコマンドを投入します。

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esxcli network firewall ruleset set -e true -r httpClient

すでにリリースノートで、パッチのProfileはESXi-8.0U3e-24674464-standardと判明していますが、SSHから確認してみます(任意)。

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[root@localhost:~] esxcli software sources profile list -d https://hostupdate.vmware.com/software/VUM/PRODUCTION/main/vmw-depot-index.xml | grep ESXi-8.0U3e

数分、時間がかかる場合があります。

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ESXi-8.0U3e-24674464-no-tools     VMware, Inc.  PartnerSupported  2025-04-10T00:00:00  2025-04-10T00:00:00
ESXi-8.0U3e-24674464-standard VMware, Inc. PartnerSupported 2025-04-10T00:00:00 2025-04-10T00:00:00

情報に相違はないことが確認できました。セキュリティパッチのみの方は、Profile名が”ESXi-8.0U3se”なのでgrepの結果抽出されていません。

パッチ適用の事前準備

  1. 仮想マシンを全てシャットダウンします
  2. ESXiをメンテナンスモードに切り替えます

さて、最後にパッチ適用のコマンドを投入しますが、前述したWilliam氏のブログでのコメントも認識しておいてください。いつまでこの方法が通用するかはわかりません。

これがあなたのホームラボであり、私のようなESXiホストが1つしかない場合、オンラインのVMwareパッチリポジトリを引き続き使用できるようにする回避策を見つけることができましたが、これは間違いなく公式にはサポートされていません。

  1. SSHから以下のコマンドを投入します。
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esxcli software profile update -p ESXi-8.0U3e-24674464-standard -d https://hostupdate.vmware.com/software/VUM/PRODUCTION/main/vmw-depot-index.xml
  1. 実行後しばらくしてから、結果が表示されます。
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Update Result
Message: The update completed successfully, but the system needs to be rebooted for the changes to be effective.
...
Reboot Required: true
  1. 再びESXiのFirewallでhttpsアクセスを閉じます。
     esxcli network firewall ruleset set -e false -r httpClient

  2. rebootとし、ESXiを再起動します。

再起動完了後、ESXiにログインします。左ペインメニューの”ホスト”をクリックし、バージョンの表記に今回パッチを当てたビルド番号が表示されている事を確認してください。今回はU3eとなっているはずです。

または、sshでESXiに接続し、vmware -vを実行し確認します。

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[root@localhost:~] vmware -v
VMware ESXi 8.0.3 build-24674464

事後作業

これまで実施してきたメンテナンス準備とは反対の作業をします。メンテナンスモードの終了・SSHの無効化・仮想マシンの起動と続けます。